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金沢地方裁判所 昭和59年(行ウ)8号 判決 1985年9月20日

福井市豊岡一丁目一三〇九番地の三

原告

鈴木幸一

東京都千代田霞が関が関三‐一‐一中央合同庁舎第四号館

被告

国税不服審判所長

林信一

右指定代理人

西村金義

小中敝次

志賀浦実

山本勝久

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求趣旨

1  被告が原告に対し昭和五九年八月九日付でなした裁決を取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨。

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  原告は、福井税務署長から、昭和五八年一二月一三日付で、昭和五五、五六、五七年の各所得税につき更正等の決定(以下「本件処分という。)を受けたが、これを不服として昭和五九年二月九日付で異義申立てをなしたところ、福井税務署長は、右申立てに対し、昭和五九年五月八日付で棄却の決定(以下「本件異議決定という。)をなした。

そこで、原告はこれを不服として、被告に対し昭和五九年六月一〇日付で本件処分につき審査請求をなしたところ被告は、原告の請求は法定の期間経過後にされた不適法なものであるとして却下の裁決(以下「本件裁決」という。)をなした。

2  しかしながら、原告が本件異議決定書謄本の送達を受けたのは昭和五九年五月一一日であるから、原告の審査請求は末だ法定の期間内になされたものであり、本件裁決には誤りがあって違法である。

3  よって、本件裁決の取消しを求める。

二  請求の原因に対する認否

1  請求の原告1は認める。なお、原告の審査請求書は、昭和五九年六月一一日被告に提出されたものである。

2  同2は争う。原告に対する本件異議決定書謄本の送達は、五九年五月八日午後四時七分ころ、福井税務署所属職員が国税通則法一二条四項の規定に基づき原告宅において直接原告に交付して行なわれた。従って、原告が審査請求をすることができるのは、同年六月八日までであるところ、原告が本件審査請求をなしたのは同月一一日であるから、同請求は不服申立期間を徒過した不適法なものであることは明らかである。よって、本件裁決は適法である。

第三証拠

本件記録中の書証目録のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  請求の原告1についは当事者間に争いがないので、本件裁決に原告の主張する違法があるかどうかを検討する。

その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第一号証、第二ないし第四号証の各一、二、第五号証によれば、本件異議決定書謄本は昭和五九年五月八日に原告に交付送達されたことが認められ、他にこれを左右する証拠はない。してみると、原告が審査請求をできるのは、国税通則法七七条二項により、右送達の日の翌日から起算して一月以内の同年六月八日までということになるところ、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第六号証の一ないし三(同号証の一、三の各官署作成部分はその方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定できる。)によれば、原告は本件審査請求書を一一日付郵便で提出し、同請求書は同月一二日に被告に受理されていることが認められるので、行政不服審査法一四条四項により本件審査請求書は結局同月一一日になされたことになるが、これによれば同請求は右不服申立期間を徒過したものであることは明らかである。徒って、これを理由に本件審査請求を不適法却下とした本件裁決には何ら違法はなく、原告の主張は理由がない。

他に本件裁決を取り消しうべき違法を認めるに足る証拠はない。

二  以上によれば、本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 寺本栄一 裁判官 森高重久 裁判官 毛利晴光)

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